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  • 柔らかく滲んだ墨の色が、水の中へ溶けて行く様に消えてしまいたいと願いながら。

    残り香を抱いては、もう戻れぬ。
    日々を想い涙しては、淋しさに打ち震える―――。

    遠く、遠くへと消える。
    認めた手紙は何処へ。

    宛名のない文字の端でこゝろ殺すのは、愛しているから―――。

    震える指先で何度も綴れば紅く流れる。
    白景に映える、その色彩だけが温かく―――。

    色褪せた思ひ出が霞む、陽溜りの中。
    紺碧の彼方へと飛んだ紙飛行機。

    畳なわる弱い声は鉛の壁に軋んだ。
    昔日に置き去りになった優しい微笑みは、ここでずっと咲いている―――。

    遠く、遠くへと消える。
    認めた手紙は何処へ。

    宛名のない文字の端でこゝろ殺すのは、愛しているから―――。

    あなたの言葉が私の筆を走らせて、思いの丈を綴らせる

    あゝ、青さの中で砕け散る枯れた言の葉。

    碧落の中へと消えて行く―――。

    終わり
  • [00:21.75]柔らかく滲んだ墨の色が、水の中へ溶けて行く様に消えてしまいたいと願いながら。
    [00:44.27]
    [00:44.32]残り香を抱いては、もう戻れぬ。
    [00:53.83]日々を想い涙しては、淋しさに打ち震える―――。
    [01:07.35]
    [01:07.40]遠く、遠くへと消える。
    [01:12.92]認めた手紙は何処へ。
    [01:18.37]
    [01:18.42]宛名のない文字の端でこゝろ殺すのは、愛しているから―――。
    [01:41.50]
    [01:41.55]震える指先で何度も綴れば紅く流れる。
    [01:53.80]白景に映える、その色彩だけが温かく―――。
    [02:28.12]
    [02:28.17]色褪せた思ひ出が霞む、陽溜りの中。
    [02:38.78]紺碧の彼方へと飛んだ紙飛行機。
    [02:49.52]
    [02:49.57]畳なわる弱い声は鉛の壁に軋んだ。
    [03:00.10]昔日に置き去りになった優しい微笑みは、ここでずっと咲いている―――。
    [03:16.10]
    [03:16.15]遠く、遠くへと消える。
    [03:21.24]認めた手紙は何処へ。
    [03:26.31]
    [03:26.36]宛名のない文字の端でこゝろ殺すのは、愛しているから―――。
    [03:45.12]
    [03:45.18]あなたの言葉が私の筆を走らせて、思いの丈を綴らせる
    [03:56.35]
    [03:56.40]あゝ、青さの中で砕け散る枯れた言の葉。
    [04:06.75]
    [04:06.80]碧落の中へと消えて行く―――。
    [04:19.60]
    [04:19.70]終わり