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  • 生きのこるものはずうずうしく、
    死にゆくものはその清純さを漂(ただよ)わせ
    物云いたげな瞳を床にさまよわすだけで、
    親を離れ、兄弟を離れ、
    最初から独りであったもののように死んでゆく。
    ...
    さて、今日は良いお天気です。
    街の片側は翳(かげ)り、片側は日射しをうけて、あったかい
    けざやかにもわびしい秋の午前です。
    空は昨日までの雨に拭(ぬぐ)われて、すがすがしく、
    それは海の方まで続いていることが分ります。
    ...
    その空をみながら、また街の中をみながら、
    歩いてゆく私はもはや此(こ)の世のことを考えず、
    さりとて死んでいったもののことも考えてはいないのです。
    みたばかりの死に茫然(ぼうぜん)として、
    卑怯(ひきょう)にも似た感情を抱いて私は歩いていたと告白せねばなりません。
  • [01:17.45]生きのこるものはずうずうしく、
    [01:33.02]死にゆくものはその清純さを漂(ただよ)わせ
    [01:48.52]物云いたげな瞳を床にさまよわすだけで、
    [02:04.59]親を離れ、兄弟を離れ、
    [02:12.28]最初から独りであったもののように死んでゆく。
    [02:25.70]...
    [03:25.00]さて、今日は良いお天気です。
    [03:40.00]街の片側は翳(かげ)り、片側は日射しをうけて、あったかい
    [03:55.16]けざやかにもわびしい秋の午前です。
    [04:12.00]空は昨日までの雨に拭(ぬぐ)われて、すがすがしく、
    [04:19.01]それは海の方まで続いていることが分ります。
    [04:30.38]...
    [04:46.00]その空をみながら、また街の中をみながら、
    [04:57.00]歩いてゆく私はもはや此(こ)の世のことを考えず、
    [05:09.02]さりとて死んでいったもののことも考えてはいないのです。
    [05:24.52]みたばかりの死に茫然(ぼうぜん)として、
    [05:45.18]卑怯(ひきょう)にも似た感情を抱いて私は歩いていたと告白せねばなりません。