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  • 《神様はじめました》
    何だ?その弁当は。
    厚焼き卵、ししゃも、煮物...重箱なんかに入れて。学校に持っていくものではないな。
    おお、無理の照り焼きもあるのか。
    うまそうにできているではないか。
    うん、 何だ? よく見たら、全部スーパの惣菜じゃないか。褒めて損した。
    全部じゃない?めしは大抵、あつい米を握っただと。
    まあ、めしくらい握れるか。
    しかし、どこ丼なく形がいびつというか、糊もふぎんきつというか。
    で、何のためにこんな豪勢の弁当を作っているのだ。
    は?花見に行きたいだと?この俺と?
    たかが桜を見て、めしを喰うだけなんて、暇なことだ面倒くさい。
    一人で行くだと。
    やめておけ。
    お前のことだから、花見会場でまた面倒なことに巻き込まれるに違いない。
    そんな場所にお前を一人行かせられるか。
    だから、俺に来てほしいだと。
    俺は酔客で溢れる場所に行く気はない。
    何?俺も花見をしながら、酒を飲んでいいだと?
    まあ、確かに、それは悪くないな。
    しかたがない、今回は特別に一緒に行ってやる。
    それにしても、何で弁当を用意するところから相談しなかったのだ。
    言えば作ってやったものを。
    内緒にして驚かせたかった?
    だったら、それは生硬だな。
    少しじっとしていろ。
    こんなにほうみ米粒をつけて、どれだけつきみぐようしたんだ。
    何?手で取ればいいだろうだって。
    花見についていってやるのだから、これくらい俺の好きにさせろ。
    だまって、じっとしていろ。
    おとなしく しろ、あまリ動くな。
    ほら、米つぶは1つ、2つ、3つ。
    弁当を出掛ける前に食べてどうするんだ。まったく
    十分驚かされた。
    それにしても、重箱とは料が多いな。
    皆で行く?やはリそうなるのか。
    何でもない。
    しかたがない、弁当の準備を手伝ってやる。
    少し待っていろ。
    お前に任せていたら、いつでき上がるかわからないからな。
    騒しいやつらが多いが、昼から酒が飲めるのは悪くない。
    お前も飲むか。
    ほら、甘酒だ。
    これならお前でも飲めるだろう。
    うん?来てよかった?
    そうだな。
    花もいいが、お前の顔を眺めながら酒は格別だ。
    どうした?ナナミ。
    顔は何だか赤いぞ。照れているのか?
    急に笑い出して、どうしたというのか。
    このらしく目もとろんとして、お前、酔っているのか。
    まさか?こんな甘酒で酔っ払うとはな。
    大、大丈夫か。
    心配性って、お前が心配させているのだろうか。
    これ以上飲むな。
    これだから、お前から目を離せないのだ。
    人の話を聞かんやつめ。
    ああ、そうだな。
    桜がきれいだな。
    うん、 今度は弁当がどうした。
    あ、 この卵焼きも手作りだったのか。
    言われて見れば、ぶっがこらしい。焦ているようだな。
    味はたしかだから、食べてみろうだと。
    別に差し出さなくても自分で喰う。
    はやくだと
    わかった。
    たべる。
    食べるから。
    そんなに近付くな。
    うまい。
    偶には甘い卵焼きも悪くない。
    お前にしては上出来だ。
    だが、この俺がやられっぱなしはしょうぎ合わん。
    さあ、俺の作った稲荷鮨を食べてみろ。
    中にはちゃんと椎だけも入れてやる。
    どうした。
    俺の作ったものは喰えんとは言わせんぞ。
    顔が近い?
    近おらないと食べさせにくいだろう。
    ほら、口を開けろ。
    逃たか?
    だが、あいつの焦った顔、ほんとにからかいのあるやつだな。
    あいつ、どこまでいっているんだ。
    まさか、あやかしに絡まれて襲われているんじゃ。
    いや、悪い気配はしない。
    考え過ぎか。
    しかたない、探しに行ってやるか。
    いた。
    夜桜に見通れて返りが遅かったのか。
    昔、同じような場面があったような。
    「そんなに気に入ったなら、ここに御殿を建ててやる。
    お前がいつまでも桜が見られるようにな」。
    こんなところにいたのか。
    桜がきれいで夢の中にいるみたいって。
    おい、そんなに燥ぐと転ぶぞ。
    だから、いっただろう。
    どうした?
    何を惚けている。
    どこか打ったのか。
    何?桜の天蓋だと、突然何を言って...
    「気に入ったなら、ここに御殿を...」
    そんなに気に入ったなら、ここに御殿を建ててやる。
    お前がいつまでも桜が見られるように。
    いや、俺は何をいっているのだ。
    桜は散る...
    そうだな。
    さっきのを忘れてくれ。
    帰える?
    うん、そうだな。
    だいぶ引いてきた。
    あ、また来年も-緒に来よう。
    「そんなに気に入ったなら、ここに御殿を建ててやる。
    お前がいつまでも桜が見られるように」。
    あれはだれにいったことなのか。
    忘れてしまった。
    遠い、遠い記憶に...
    いや、なんでもない。
    帰るか。俺たちの社に。
    お前のおかけで、今日は気分がいい。
    帰ったら 、部屋の間仕切りを桜にしてやろうか。
    あ、期待していろ。
  • [00:00.76]《神様はじめました》
    [00:07.16]何だ?その弁当は。
    [00:12.57]厚焼き卵、ししゃも、煮物...重箱なんかに入れて。学校に持っていくものではないな。
    [00:25.40]おお、無理の照り焼きもあるのか。
    [00:28.78]うまそうにできているではないか。
    [00:31.99]うん、 何だ? よく見たら、全部スーパの惣菜じゃないか。褒めて損した。
    [00:42.75]全部じゃない?めしは大抵、あつい米を握っただと。
    [00:51.15]まあ、めしくらい握れるか。
    [00:57.24]しかし、どこ丼なく形がいびつというか、糊もふぎんきつというか。
    [01:05.71]で、何のためにこんな豪勢の弁当を作っているのだ。
    [01:12.69]は?花見に行きたいだと?この俺と?
    [01:20.87]たかが桜を見て、めしを喰うだけなんて、暇なことだ面倒くさい。
    [01:28.90]一人で行くだと。
    [01:31.58]やめておけ。
    [01:33.30]お前のことだから、花見会場でまた面倒なことに巻き込まれるに違いない。
    [01:39.98]そんな場所にお前を一人行かせられるか。
    [01:46.85]だから、俺に来てほしいだと。
    [01:49.91]俺は酔客で溢れる場所に行く気はない。
    [01:55.61]何?俺も花見をしながら、酒を飲んでいいだと?
    [02:05.52]まあ、確かに、それは悪くないな。
    [02:13.31]しかたがない、今回は特別に一緒に行ってやる。
    [02:19.19]それにしても、何で弁当を用意するところから相談しなかったのだ。
    [02:26.32]言えば作ってやったものを。
    [02:31.37]内緒にして驚かせたかった?
    [02:34.79]だったら、それは生硬だな。
    [02:39.92]少しじっとしていろ。
    [02:45.28]こんなにほうみ米粒をつけて、どれだけつきみぐようしたんだ。
    [02:53.24]何?手で取ればいいだろうだって。
    [02:57.74]花見についていってやるのだから、これくらい俺の好きにさせろ。
    [03:03.47]だまって、じっとしていろ。
    [03:07.29]おとなしく しろ、あまリ動くな。
    [03:12.60]ほら、米つぶは1つ、2つ、3つ。
    [03:23.79]弁当を出掛ける前に食べてどうするんだ。まったく
    [03:28.28]十分驚かされた。
    [03:34.55]それにしても、重箱とは料が多いな。
    [03:41.33]皆で行く?やはリそうなるのか。
    [03:48.08]何でもない。
    [03:49.90]しかたがない、弁当の準備を手伝ってやる。
    [03:53.11]少し待っていろ。
    [04:00.25]お前に任せていたら、いつでき上がるかわからないからな。
    [04:12.58]騒しいやつらが多いが、昼から酒が飲めるのは悪くない。
    [04:19.10]お前も飲むか。
    [04:21.01]ほら、甘酒だ。
    [04:24.46]これならお前でも飲めるだろう。
    [04:32.42]うん?来てよかった?
    [04:36.25]そうだな。
    [04:39.45]花もいいが、お前の顔を眺めながら酒は格別だ。
    [04:52.05]どうした?ナナミ。
    [04:54.24]顔は何だか赤いぞ。照れているのか?
    [05:01.69]急に笑い出して、どうしたというのか。
    [05:07.78]このらしく目もとろんとして、お前、酔っているのか。
    [05:16.41]まさか?こんな甘酒で酔っ払うとはな。
    [05:24.54]大、大丈夫か。
    [05:28.12]心配性って、お前が心配させているのだろうか。
    [05:34.42]これ以上飲むな。
    [05:37.98]これだから、お前から目を離せないのだ。
    [05:43.30]人の話を聞かんやつめ。
    [05:46.78]ああ、そうだな。
    [05:48.85]桜がきれいだな。
    [05:53.68]うん、 今度は弁当がどうした。
    [06:01.36]あ、 この卵焼きも手作りだったのか。
    [06:06.84]言われて見れば、ぶっがこらしい。焦ているようだな。
    [06:14.84]味はたしかだから、食べてみろうだと。
    [06:20.76]別に差し出さなくても自分で喰う。
    [06:26.40]はやくだと
    [06:30.18]わかった。
    [06:31.56]たべる。
    [06:32.29]食べるから。
    [06:33.42]そんなに近付くな。
    [06:44.58]うまい。
    [06:48.42]偶には甘い卵焼きも悪くない。
    [06:54.59]お前にしては上出来だ。
    [06:57.86]だが、この俺がやられっぱなしはしょうぎ合わん。
    [07:05.21]さあ、俺の作った稲荷鮨を食べてみろ。
    [07:09.38]中にはちゃんと椎だけも入れてやる。
    [07:16.38]どうした。
    [07:18.15]俺の作ったものは喰えんとは言わせんぞ。
    [07:24.89]顔が近い?
    [07:27.25]近おらないと食べさせにくいだろう。
    [07:30.61]ほら、口を開けろ。
    [07:47.19]逃たか?
    [07:50.13]だが、あいつの焦った顔、ほんとにからかいのあるやつだな。
    [08:11.93]あいつ、どこまでいっているんだ。
    [08:17.40]まさか、あやかしに絡まれて襲われているんじゃ。
    [08:22.56]いや、悪い気配はしない。
    [08:27.09]考え過ぎか。
    [08:33.54]しかたない、探しに行ってやるか。
    [08:53.16]いた。
    [08:54.93]夜桜に見通れて返りが遅かったのか。
    [09:01.09]昔、同じような場面があったような。
    [09:09.54]「そんなに気に入ったなら、ここに御殿を建ててやる。
    [09:14.23]お前がいつまでも桜が見られるようにな」。
    [09:27.05]こんなところにいたのか。
    [09:31.25]桜がきれいで夢の中にいるみたいって。
    [09:35.03]おい、そんなに燥ぐと転ぶぞ。
    [09:40.30]だから、いっただろう。
    [09:44.96]どうした?
    [09:47.02]何を惚けている。
    [09:49.60]どこか打ったのか。
    [09:54.27]何?桜の天蓋だと、突然何を言って...
    [10:07.91]「気に入ったなら、ここに御殿を...」
    [10:15.58]そんなに気に入ったなら、ここに御殿を建ててやる。
    [10:22.45]お前がいつまでも桜が見られるように。
    [10:30.66]いや、俺は何をいっているのだ。
    [10:39.16]桜は散る...
    [10:43.90]そうだな。
    [10:46.27]さっきのを忘れてくれ。
    [10:51.61]帰える?
    [10:53.26]うん、そうだな。
    [10:55.93]だいぶ引いてきた。
    [11:00.06]あ、また来年も-緒に来よう。
    [11:07.01]「そんなに気に入ったなら、ここに御殿を建ててやる。
    [11:11.79]お前がいつまでも桜が見られるように」。
    [11:21.53]あれはだれにいったことなのか。
    [11:25.16]忘れてしまった。
    [11:29.06]遠い、遠い記憶に...
    [11:37.83]いや、なんでもない。
    [11:41.87]帰るか。俺たちの社に。
    [11:55.57]お前のおかけで、今日は気分がいい。
    [11:59.98]帰ったら 、部屋の間仕切りを桜にしてやろうか。
    [12:04.87]あ、期待していろ。