当前位置:首页 > 歌词大全 > 和泉マサムネの記念日 智恵編歌词
  • 高砂智恵は俺の同級生で
    駅前にある本屋「高砂書店」の看板娘
    マンガとライトノベルを愛する女子高生だ
    一見のんびりとした優等生、と言った外見なのだが
    実のところはそうでもない
    そうだな、例えばこの前こんなことがあった
    六月中旬、クラスでの話題に
    夏休みという単語が混じり始めたある日の放課後
    智恵:「ムネ君、ちょっといいかな」
    正宗:「何だ」
    智恵:「僕に勉強を教えてほしいんだ」
    正宗:「ああ、ごめん。今新作の執筆で忙し……」
    智恵:「無理を承知の上でお願いしたく
    どうか学年中五位の和泉正宗様
    追試をクリアしないと、補習で夏休みが」
    正宗:「そういう理由ね。事情は分かったけど」
    智恵:「無論、ただとは言いませぬ
    報酬として、今月の電撃大王を用意いたしております」
    (おお、智恵にしと奮発したな)
    普段のこいつは友達に本をあげたりしない
    自分ちで買い物をしてもらわなくちゃいけないからね
    そのポリシーを曲げてまでのお願いということらしかった
    正宗:「でも、俺が一番読みたいマンガ休載してそうだしな」
    智恵:「おっしゃる通り休載中だけども
    ほかにも面白いマンガがいっぱい載ってるから
    最近連載が始まったばかりの作品もあるし
    新規で購読を始めるにはうってつけのほうだから
    あっ、面白かったら来月からは自分で買ってよね」
    正宗:「それってもう、報酬というより、販促じゃないの」
    智恵:「これで足りないというのなら、もう僕の体で払うしか」
    正宗:「教室で何言ってんの」
    (女子グループからすけい目で見られてるんだけど)
    智恵:「だ、だってムネ君はエロマンガ先生に
    パンツを見せてくれる美少女を探してるんでしょう
    そこで僕がエロマンガ先生の犠牲になってあげる代わりに
    勉強をだね」
    正宗:「その件はもう解決したからいいよ」
    (解決したというかつかまってみたというか
    説明する気にもならないんだけども
    ともかく、それは別の話だ)
    正宗:「それと、俺の相棒であるイラストレートの名前を
    教室で口に出すのはやめようか」
    智恵:「なんで」
    正宗:「俺が智恵に勉強を教えてあげるかわりに
    エッチな要求をしているって誤解されるからだ」
    智恵:「ああっ、場所変えよっか」
    正宗:「図書室行こうぜ、追試の対策だけパッと教えるからさ」
    智恵:「おお、商談成立ということかな」
    正宗:「いや、ただでいいよ、いつも面白い本を教えてもらってるし
    そのお返しってことで」
    智恵:「本当に、わぁすっごく助かる」
    正宗:「恩に来てくれるんなら、俺の新刊が出た時
    おすすめ棚に並べてくれよ」
    智恵:「いいよ、ただし、僕が読んで面白かったらね」
    正宗:「そこは譲れないんだな」
    図書室に移動した俺たちは長机を挟んで
    向かい合うように座った
    机の上にはノートが広げられている
    しばらく追試範囲の内容を教えていると
    智恵がノートから顔を上げていた
    智恵:「いやぁムネ君、改めてありがとうね
    優しい友達がいた幸運に感謝だ」
    正宗:「お礼は追試結果で返してくれ」
    智恵:「そのつもりだよ
    にしても、試験結果の順位表を見てびっくりした
    君ってあんなに成績よかったんだね
    お仕事だって忙しいんだろうに、勉強する時間とかあるの」
    正宗:「毎回必死だよ
    まあちょっとした事情があってさ、成績落とせないんだ
    お前こそ、見た目優等生っぼいのに」
    (意外とアホなんだな)
    智恵:「うん?何かな、最後まで言ってごらん」
    正宗:「い、い、いやまあ、智恵にだってすごいところはあるよ」
    智恵:「おお、例えば」
    (えっと、智恵のすごいところ、すごいところ)
    正宗:「面白い本とか、ゲームとかアニメとか、たくさん知ってるし
    本屋の陣列テクニックとか、次に入る本の分析とか
    そういうのって、普通の女子高生には出来ないコツだと思うぜ」
    智恵:「ふん、学校では評価されない項目ですからね」
    正宗:「普通科高校の劣等生なんだな」
    智恵:「それってただのバカってことだよね」
    正宗:「図書室で大声出すなよ」
    智恵:「ああ、いけないいけない」
    正宗:「さ、気を取り直して、勉強の続きをしようぜ」
    智恵:「そういえばさ、ムネ君」
    正宗:「鉛筆の動きが止まってるぞ」
    智恵:「ちょっとだけ休憩しよう、ちょっとだけ」
    正宗:「少しだけな、ってなんだよ」
    智恵:「ラノベ作家って、儲かるの」
    (いるよな、こういううさい質問をしてくる友達)
    智恵:「いやだって、やっぱ気になるじゃんか
    ほら、一オタク一ラノベファンとしてね
    って、どうなのさ」
    正宗:「人それぞれじゃないか
    それこそ例の山田エルフ先生とこなら
    家を買えるくらい稼いでいるだろうし」
    智恵:「和泉マサムネ先生は大したことないの」
    (失礼すぎだろう、こいつ)
    正宗:「ええと、どうかな、
    全然本が出せなくて
    おととしみたいに年収がほぼゼロになっちゃうときもあれば
    日本人の平均年収以上に稼げた年もあるよ
    まあ、やっぱいろいろとしか言えないかな」
    智恵:「うんん、よくネットとかでラノベ作家は稼げないから
    編集者さんから絶対仕事をやめるなって言われる
    なんて話を聞くけど」
    正宗:「それは嘘だな、そうすは俺
    『新作の売れ行きがいいから学校をやめてください』って言われた事がある」
    智恵:「ネットゲーの廃人ギルドみたいだね」
    正宗:「まあもちろんやめなかったからこそ
    今こうしてるんだけどさ
    あと、一応フォローしておくと、
    作家の将来を築かってくれる心優しい編集者さんも
    もしかしたらコネ運どっかにはいるかもしれない 」
    智恵:「明らかに『いるわけねぇ』というニュアンスが感じられるんですけど」
    正宗:「気のせいだ。んて、智恵、この話に落ちはあんの」
    智恵:「えっとね、あるっじゃあるかな」
    正宗:「あるのかよ」意外だ
    智恵:「うんっとね、もしもムネ君が
    アニメ化するくらいの大ヒット作品を生み出して
    山田エルフ先生くらいに大儲けしたらさ」
    正宗:「大儲けしたら?」
    智恵:「僕が、ムネ君のお嫁さんになってあげてもいいよ」
    正宗:「金目当てを隠そうともしてねぇ!」
    (ふざけんな!せめてもうちょっとカムフラージュしろよ)
    智恵:「まあ、考えておいてよ」
    正宗:「却下、俺好きな人いるし」
    智恵:「ええ、えーーー
    だれ、だれ?同じクラス?」

    智恵:「ええ、教えろよ、僕とムネ君の仲だろう」
    正宗:「俺とお前の仲ってなんだよ
    金目当てでプロポーズをする程度の仲なんだろう」
    智恵:「いやいや、愛はともかく
    僕たちの間には無償の友情があったはずだぜ」
    正宗:「えっ?」
    智恵:「何さムネ君、その何か言い出そうな顔は」
    正宗:「俺ってなんでお前と友達になったんだっけ」
    智恵:「ちょっ、ひどい、忘れちゃったの、ちゃんと思い出してよ
    君の大切な記念日だったはずだろう」
    正宗:「智恵と仲良くなった記念日ってこと?」
    智恵:「それもあるけど、ほら
    三年前、僕らがまだ幼気な中学生だった頃」
    そう、あれは
    正宗:「ああ、緊張する」
    朝の十時、俺は高砂書店のライトノベルコーナーにいた
    その日は、和泉マサムネのデビュー作は、初めて書店に並ぶ日だったのだ
    正宗:「ああ、本当に売ってるよ、俺の
    イラストレーター『エロマンガ』って書いてあるけど」
    (なんでこの人こんないかがわしいペンネームをつけたかったんだよ)
    正宗:「いたたっ、胃が痛い」
    (俺、作家デューしたんだな
    俺の本買ってくれる人がいるんだろうか)
    ワクワクと心劣る気持ちと、不安でたまらない気持ちが
    胸の中で渦巻いている
    もちろん、作者が本屋にきたところで
    本の売り上げを左右できるわけでもない
    そんなことは分かってる
    分かっちゃいるんだが、どうしてもこのまま家に帰る気にはなれなくて
    どうしたかっていうとだな
    本棚の陰に隠れて、本の売れ行きを監視する体勢に入った
    血走った目で、ライトノベルコーナーを凝視する
    たぶん漫画家とか、小説家とか、みんな似たようなことをやってると思う
    新刊の発売日だからか
    開店直後だというのに、お客さんはそこそこいる
    しばし新刊棚に熱視線を送り続けていると
    正宗:「おっ、ついに俺のデビュー作を手に取った人がいた
    高校生くらいに男子だ
    彼は手に取った本の表紙をじっと見て
    裏返したり、背表紙を見たり、買おうかどうか迷っている様子」
    (よし、買え!買うんだ!お願いします、きっと面白いから)
    男1:「なんだよ、この『エロマンガ』って
    恥ずかしくて買えねぇよ」
    正宗:「ちくしょう、エロ漫画じゃないのに
    エッチな内容じゃ全然ないのに」
    さらに見守ること数分、再び俺のデビュー作を手に取る人がいた
    正宗:「よーし、今度こそ買ってください
    『エロマンガ』って書いてあるけど、エロくないから
    さ、勇気を出して」
    男2:「新人作家か、人は知らまじだな」
    正宗:「けっ、えらそうに、何様だてめぇ」
    (モンスターペアレンツと呼ばれる親たちの気持ちが
    今の俺にはよくわかる)
    さらに数分見守るも、一向に俺の本を買ってくれる人は現れない
    (や、やばい、このまま一冊も売れなかったらどうしよう
    デビュー早々、一巻打ち切りになっちゃったらどうしよう)
    そんな情けなくも、切実な思いから、つい魔が差してしまったのだ
    俺はフラフラとライトノベルコーナーに近づいていて
    正宗:「なんか超面白そうなラノベが売ってるぞ
    イラストもかわいいし、『和泉マサムネ』ってペンネームも格好いいし
    あらすじも楽しそうだし、こりゃ大ヒット間違いなしですわ」
    (じろっ)
    正宗:「表紙に『エロマンガ』って書いてあるけど
    イラストレーターさんの名前で内容には関係ないし
    エッチな小説じゃちっともないし
    勇気を出して買っちゃおうかな」
    (じろっ、じろっ
    さ、皆の物買え、買うのだ)
    店主:「お客様」
    正宗:「はいっ、ええ!」
    店主:「お話がありますので、こちらに来ていただけますか」
    肩をつかまれ振り向くと、強面マッチョのおっさん
    高砂書店の店主が、ド迫力で俺を見下ろしていた
    店内で騒いでいた俺は、書店のバックロームで弁解をしていた
    正宗:「ですから、俺は作者なんですよ、この本の」
    店主:「こんなに若い作家がいるか
    うちの娘と同じぐらいじゃねぇか」
    正宗:「本当ですって、最近中学生デビューとか、珍しくない時代なんですってば
    ほら、これ、学生証、『和泉正宗』って書いてあるでしょう
    この本の作者とほとんど同じ名前ですよ、これが証拠です」
    店主:「うん、いやしかしな」
    智恵:「ちょっと、お父さん
    お店空っぽにして何やっての、万引きか何か」
    店主:「ああ、いや、店で騒いでるやつがいたからよ
    ほかのお客様の邪魔になるかもしれねぇから、事情を聞いてたんだが」
    智恵:「ん?ありゃ、和泉君じゃない、一組の」
    正宗:「えっ、君は」
    智恵:「高砂智恵、覚えてないかな、小三の時同じクラスだったんだけど」
    正宗:「あ、ごめん」
    智恵:「そっか、まあいいや」
    店主:「こぞ、こんな美少女を忘れたってんのか」
    正宗:「す、すみません」
    智恵:「ちょっ、お父さん、恥ずかしいこと言わないで
    えっと、で、どういうこと」
    店主:「だからな、店で騒いでたこぞは
    自分がこの本を書いた作家だとかなんとか
    下手な嘘ついてよ」
    智恵:「おっ、それ、今日発売の新刊じゃん
    って、えっ、『和泉マサムネ』、和泉正宗
    ん?ん??ま、まさか」
    正宗:「うん、俺がその本の作者、和泉正宗なんだ」
    智恵:「マジで?」
    正宗:「マジで」
    店主:「偶然じゃねぇのか」
    正宗:「本当ですって」
    智恵:「ね、和泉君さ」
    正宗:「な、なんだ」
    智恵:「ブラックロッドとブラッドジャケットとブライトライツ-ホーリーランド
    この三作ではどれが一番好き」
    どれも電撃文庫から発売されている超名作小説だ
    俺は質問の意図を分かりかねながらも、即答していた
    正宗:「ブラッドジャケット」
    智恵:「うんん
    ラノベキャラで君が一番格好いいと思う名前は」

    智恵:「んじゃ、ブギーポップシリーズで一番好きな本は」
    正宗:「高砂さん、この質問に何の意味があるわけ」
    智恵:「ライトノベル性格分析ってとこかな
    いいから答えてよ」
    正宗:「VSイマジ
    いや、エンブリオ炎生かな」
    智恵:「そっかそっか、なるほどね、いやどうりで
    ちなみに僕は、パンドラとペパーミントの魔術師が好きだよ」
    正宗:「俺も、ファントムは超好き」
    智恵:「おお分かってるね
    あっ、ところで、うちのお父さんちょっとイナズマに似てない」
    正宗:「えっ、似てないと思うけど」
    店主:「おいおい、何の話だ、さっぱりわからんぞ」
    智恵:「お父さん、和泉君の言ってることたぶん本当
    自分が作者だなんて言って、ごまかそうとしているわけじゃないよ」
    店主:「なんでわかる」
    智恵:「んとね、いまちょっと話してそう思った
    ラノベ好きなやつに悪いやつはいないって
    それだけじゃ弱いかな」
    店主:「まあな」
    智恵:「えっとじゃ、あんまり大きな声じゃ言えないんだけど
    僕、今日発売のラノベ
    昨日店に入荷したときに読んじゃったんだよね」
    正宗:「てことは、俺の本も読んでくれたってこと」
    智恵:「えへへ、そういうこと
    びっくりしちゃった、
    僕が作品を読んで想像した作者のイメージそのものなんだもん
    だから、きっとこの人が和泉マサムネ先生本人なんだろうなって思った
    それに、同じクラスで一年間過ごしたこともあるしな
    君はそんな嘘をつくようなやつじゃないよ
    今日は和泉正宗のデビュー作発売日だし
    お店の中で様子がおかしかったのはそのせいじゃないかな」
    (見透かされている)
    店主:「わかった
    おいこぞ、もう店で騒ぐなよ」
    正宗:「はい、すみませんでした」
    智恵:「一件落着だね」
    正宗:「助かったよ」
    威圧感のかたまりがバックルームから去り
    俺はようやく一息つく
    そこで、高砂さんが上機嫌に近づいてきた
    智恵:「で、和泉マサムネ先生、なんか面白そうだし、話聞かせてよ」
    正宗:「ああ、記念日って、俺のデビュー作の発売日か
    あれがきっかけでお前と話すようになったんだっけ」
    智恵:「そうそう、なんだよ、ちゃんと覚えてるじゃん
    その後ムネ君が、ラノベ作家だってことを学校では隠したいから
    秘密にしててって言い出して」
    正宗:「ずっと内緒にしてくれてるよな」
    智恵:「そりゃ約束しましたからね」
    正宗:「すぐばらされるって思ってた」
    智恵:「ちぇ、ひどいな
    こう見えてけっこう義理堅いだぜ僕」
    正宗:「知ってる、友達だからな」
    智恵:「そう、ムネ君が学校で唯一ラノベの話ができる友達だ
    僕にとってもね」
    俺はともかく、智恵は学校でも友達が多いほうだと思うのだが
    やっぱり書店員でラノベ担当をしている彼女と同じレベルで
    ラノベトークができる女子はいないらしい
    だから、お互いにとっていい出会いだったのだろう
    智恵:「ね、ムネ君この後うち寄ってく
    ほら、勉強教えてもらった報酬、渡さなくちゃだし
    ただでいいとは言ってもらったけれども、受け取ってよ」
    正宗:「そういうことなら、行くよ」
    智恵:「よーし、そうかなくっちゃ
    ムネ君におすすめしたい本もあるんだ」
    正宗:「貸してくれんの」
    智恵:「売ってあげるよ」
    正宗:「しっかりしてんな
    わかった、買うよ」
    智恵:「毎度あり、きっと気に入ってくれると思うよ
    読んだら感想聞かせてよね」
    高砂智恵、俺の親友は、こんなやつだ
  • [00:02.105]高砂智恵は俺の同級生で
    [00:05.185]駅前にある本屋「高砂書店」の看板娘
    [00:09.479]マンガとライトノベルを愛する女子高生だ
    [00:12.901]一見のんびりとした優等生、と言った外見なのだが
    [00:17.263]実のところはそうでもない
    [00:19.915]そうだな、例えばこの前こんなことがあった
    [00:24.222]六月中旬、クラスでの話題に
    [00:27.431]夏休みという単語が混じり始めたある日の放課後
    [00:33.109]智恵:「ムネ君、ちょっといいかな」
    [00:36.490]正宗:「何だ」
    [00:37.749]智恵:「僕に勉強を教えてほしいんだ」
    [00:40.445]正宗:「ああ、ごめん。今新作の執筆で忙し……」
    [00:44.392]智恵:「無理を承知の上でお願いしたく
    [00:46.680]どうか学年中五位の和泉正宗様
    [00:49.719]追試をクリアしないと、補習で夏休みが」
    [00:53.312]正宗:「そういう理由ね。事情は分かったけど」
    [00:57.968]智恵:「無論、ただとは言いませぬ
    [01:00.357]報酬として、今月の電撃大王を用意いたしております」
    [01:04.692](おお、智恵にしと奮発したな)
    [01:08.255]普段のこいつは友達に本をあげたりしない
    [01:12.128]自分ちで買い物をしてもらわなくちゃいけないからね
    [01:15.540]そのポリシーを曲げてまでのお願いということらしかった
    [01:20.664]正宗:「でも、俺が一番読みたいマンガ休載してそうだしな」
    [01:24.930]智恵:「おっしゃる通り休載中だけども
    [01:27.589]ほかにも面白いマンガがいっぱい載ってるから
    [01:30.694]最近連載が始まったばかりの作品もあるし
    [01:34.251]新規で購読を始めるにはうってつけのほうだから
    [01:38.263]あっ、面白かったら来月からは自分で買ってよね」
    [01:42.066]正宗:「それってもう、報酬というより、販促じゃないの」
    [01:47.387]智恵:「これで足りないというのなら、もう僕の体で払うしか」
    [01:52.642]正宗:「教室で何言ってんの」
    [01:54.870](女子グループからすけい目で見られてるんだけど)
    [01:58.122]智恵:「だ、だってムネ君はエロマンガ先生に
    [02:01.239]パンツを見せてくれる美少女を探してるんでしょう
    [02:04.116]そこで僕がエロマンガ先生の犠牲になってあげる代わりに
    [02:07.652]勉強をだね」
    [02:09.178]正宗:「その件はもう解決したからいいよ」
    [02:11.887](解決したというかつかまってみたというか
    [02:15.173]説明する気にもならないんだけども
    [02:17.722]ともかく、それは別の話だ)
    [02:20.866]正宗:「それと、俺の相棒であるイラストレートの名前を
    [02:24.070]教室で口に出すのはやめようか」
    [02:26.274]智恵:「なんで」
    [02:27.371]正宗:「俺が智恵に勉強を教えてあげるかわりに
    [02:29.966]エッチな要求をしているって誤解されるからだ」
    [02:33.084]智恵:「ああっ、場所変えよっか」
    [02:38.217]正宗:「図書室行こうぜ、追試の対策だけパッと教えるからさ」
    [02:42.228]智恵:「おお、商談成立ということかな」
    [02:45.332]正宗:「いや、ただでいいよ、いつも面白い本を教えてもらってるし
    [02:49.470]そのお返しってことで」
    [02:51.329]智恵:「本当に、わぁすっごく助かる」
    [02:54.022]正宗:「恩に来てくれるんなら、俺の新刊が出た時
    [02:57.195]おすすめ棚に並べてくれよ」
    [02:59.196]智恵:「いいよ、ただし、僕が読んで面白かったらね」
    [03:03.401]正宗:「そこは譲れないんだな」
    [03:07.038]図書室に移動した俺たちは長机を挟んで
    [03:10.740]向かい合うように座った
    [03:13.182]机の上にはノートが広げられている
    [03:16.421]しばらく追試範囲の内容を教えていると
    [03:19.504]智恵がノートから顔を上げていた
    [03:22.280]智恵:「いやぁムネ君、改めてありがとうね
    [03:25.510]優しい友達がいた幸運に感謝だ」
    [03:28.708]正宗:「お礼は追試結果で返してくれ」
    [03:31.224]智恵:「そのつもりだよ
    [03:33.028]にしても、試験結果の順位表を見てびっくりした
    [03:36.855]君ってあんなに成績よかったんだね
    [03:40.011]お仕事だって忙しいんだろうに、勉強する時間とかあるの」
    [03:44.562]正宗:「毎回必死だよ
    [03:46.538]まあちょっとした事情があってさ、成績落とせないんだ
    [03:51.416]お前こそ、見た目優等生っぼいのに」
    [03:54.600](意外とアホなんだな)
    [03:56.554]智恵:「うん?何かな、最後まで言ってごらん」
    [04:00.265]正宗:「い、い、いやまあ、智恵にだってすごいところはあるよ」
    [04:04.430]智恵:「おお、例えば」
    [04:07.144](えっと、智恵のすごいところ、すごいところ)
    [04:13.969]正宗:「面白い本とか、ゲームとかアニメとか、たくさん知ってるし
    [04:17.641]本屋の陣列テクニックとか、次に入る本の分析とか
    [04:21.164]そういうのって、普通の女子高生には出来ないコツだと思うぜ」
    [04:25.327]智恵:「ふん、学校では評価されない項目ですからね」
    [04:29.821]正宗:「普通科高校の劣等生なんだな」
    [04:32.493]智恵:「それってただのバカってことだよね」
    [04:34.749]正宗:「図書室で大声出すなよ」
    [04:36.351]智恵:「ああ、いけないいけない」
    [04:39.253]正宗:「さ、気を取り直して、勉強の続きをしようぜ」
    [04:47.196]智恵:「そういえばさ、ムネ君」
    [04:49.380]正宗:「鉛筆の動きが止まってるぞ」
    [04:51.471]智恵:「ちょっとだけ休憩しよう、ちょっとだけ」
    [04:54.080]正宗:「少しだけな、ってなんだよ」
    [04:57.820]智恵:「ラノベ作家って、儲かるの」
    [05:02.311](いるよな、こういううさい質問をしてくる友達)
    [05:06.988]智恵:「いやだって、やっぱ気になるじゃんか
    [05:09.697]ほら、一オタク一ラノベファンとしてね
    [05:13.569]って、どうなのさ」
    [05:17.152]正宗:「人それぞれじゃないか
    [05:19.414]それこそ例の山田エルフ先生とこなら
    [05:22.323]家を買えるくらい稼いでいるだろうし」
    [05:25.032]智恵:「和泉マサムネ先生は大したことないの」
    [05:28.276](失礼すぎだろう、こいつ)
    [05:30.941]正宗:「ええと、どうかな、
    [05:33.158]全然本が出せなくて
    [05:34.900]おととしみたいに年収がほぼゼロになっちゃうときもあれば
    [05:38.290]日本人の平均年収以上に稼げた年もあるよ
    [05:42.876]まあ、やっぱいろいろとしか言えないかな」
    [05:45.955]智恵:「うんん、よくネットとかでラノベ作家は稼げないから
    [05:51.172]編集者さんから絶対仕事をやめるなって言われる
    [05:54.931]なんて話を聞くけど」
    [05:56.512]正宗:「それは嘘だな、そうすは俺
    [05:59.926]『新作の売れ行きがいいから学校をやめてください』って言われた事がある」
    [06:04.114]智恵:「ネットゲーの廃人ギルドみたいだね」
    [06:06.573]正宗:「まあもちろんやめなかったからこそ
    [06:08.786]今こうしてるんだけどさ
    [06:11.073]あと、一応フォローしておくと、
    [06:13.718]作家の将来を築かってくれる心優しい編集者さんも
    [06:18.150]もしかしたらコネ運どっかにはいるかもしれない 」
    [06:21.779]智恵:「明らかに『いるわけねぇ』というニュアンスが感じられるんですけど」
    [06:26.022]正宗:「気のせいだ。んて、智恵、この話に落ちはあんの」
    [06:31.856]智恵:「えっとね、あるっじゃあるかな」
    [06:35.612]正宗:「あるのかよ」意外だ
    [06:38.327]智恵:「うんっとね、もしもムネ君が
    [06:41.964]アニメ化するくらいの大ヒット作品を生み出して
    [06:45.460]山田エルフ先生くらいに大儲けしたらさ」
    [06:49.094]正宗:「大儲けしたら?」
    [06:51.073]智恵:「僕が、ムネ君のお嫁さんになってあげてもいいよ」
    [06:56.109]正宗:「金目当てを隠そうともしてねぇ!」
    [06:58.608](ふざけんな!せめてもうちょっとカムフラージュしろよ)
    [07:02.756]智恵:「まあ、考えておいてよ」
    [07:06.278]正宗:「却下、俺好きな人いるし」
    [07:11.461]智恵:「ええ、えーーー
    [07:13.995]だれ、だれ?同じクラス?」
    [07:16.504]
    [07:17.927]智恵:「ええ、教えろよ、僕とムネ君の仲だろう」
    [07:21.463]正宗:「俺とお前の仲ってなんだよ
    [07:23.637]金目当てでプロポーズをする程度の仲なんだろう」
    [07:26.299]智恵:「いやいや、愛はともかく
    [07:28.111]僕たちの間には無償の友情があったはずだぜ」
    [07:33.881]正宗:「えっ?」
    [07:35.196]智恵:「何さムネ君、その何か言い出そうな顔は」
    [07:39.134]正宗:「俺ってなんでお前と友達になったんだっけ」
    [07:42.393]智恵:「ちょっ、ひどい、忘れちゃったの、ちゃんと思い出してよ
    [07:47.105]君の大切な記念日だったはずだろう」
    [07:51.622]正宗:「智恵と仲良くなった記念日ってこと?」
    [07:54.794]智恵:「それもあるけど、ほら
    [07:57.427]三年前、僕らがまだ幼気な中学生だった頃」
    [08:02.055]そう、あれは
    [08:05.972]正宗:「ああ、緊張する」
    [08:09.313]朝の十時、俺は高砂書店のライトノベルコーナーにいた
    [08:14.248]その日は、和泉マサムネのデビュー作は、初めて書店に並ぶ日だったのだ
    [08:20.198]正宗:「ああ、本当に売ってるよ、俺の
    [08:27.099]イラストレーター『エロマンガ』って書いてあるけど」
    [08:30.616](なんでこの人こんないかがわしいペンネームをつけたかったんだよ)
    [08:35.423]正宗:「いたたっ、胃が痛い」
    [08:38.899](俺、作家デューしたんだな
    [08:42.179]俺の本買ってくれる人がいるんだろうか)
    [08:46.125]ワクワクと心劣る気持ちと、不安でたまらない気持ちが
    [08:50.518]胸の中で渦巻いている
    [08:53.778]もちろん、作者が本屋にきたところで
    [08:56.849]本の売り上げを左右できるわけでもない
    [08:59.916]そんなことは分かってる
    [09:02.001]分かっちゃいるんだが、どうしてもこのまま家に帰る気にはなれなくて
    [09:08.180]どうしたかっていうとだな
    [09:14.693]本棚の陰に隠れて、本の売れ行きを監視する体勢に入った
    [09:25.384]血走った目で、ライトノベルコーナーを凝視する
    [09:29.182]たぶん漫画家とか、小説家とか、みんな似たようなことをやってると思う
    [09:35.491]新刊の発売日だからか
    [09:37.320]開店直後だというのに、お客さんはそこそこいる
    [09:41.851]しばし新刊棚に熱視線を送り続けていると
    [09:45.444]正宗:「おっ、ついに俺のデビュー作を手に取った人がいた
    [09:50.029]高校生くらいに男子だ
    [09:51.868]彼は手に取った本の表紙をじっと見て
    [09:55.172]裏返したり、背表紙を見たり、買おうかどうか迷っている様子」
    [10:00.188](よし、買え!買うんだ!お願いします、きっと面白いから)
    [10:05.799]男1:「なんだよ、この『エロマンガ』って
    [10:08.117]恥ずかしくて買えねぇよ」
    [10:11.454]正宗:「ちくしょう、エロ漫画じゃないのに
    [10:16.007]エッチな内容じゃ全然ないのに」
    [10:23.319]さらに見守ること数分、再び俺のデビュー作を手に取る人がいた
    [10:29.187]正宗:「よーし、今度こそ買ってください
    [10:31.577]『エロマンガ』って書いてあるけど、エロくないから
    [10:34.323]さ、勇気を出して」
    [10:37.097]男2:「新人作家か、人は知らまじだな」
    [10:41.918]正宗:「けっ、えらそうに、何様だてめぇ」
    [10:46.368](モンスターペアレンツと呼ばれる親たちの気持ちが
    [10:49.611]今の俺にはよくわかる)
    [10:55.426]さらに数分見守るも、一向に俺の本を買ってくれる人は現れない
    [11:02.204](や、やばい、このまま一冊も売れなかったらどうしよう
    [11:06.333]デビュー早々、一巻打ち切りになっちゃったらどうしよう)
    [11:10.482]そんな情けなくも、切実な思いから、つい魔が差してしまったのだ
    [11:15.834]俺はフラフラとライトノベルコーナーに近づいていて
    [11:21.155]正宗:「なんか超面白そうなラノベが売ってるぞ
    [11:24.535]イラストもかわいいし、『和泉マサムネ』ってペンネームも格好いいし
    [11:29.620]あらすじも楽しそうだし、こりゃ大ヒット間違いなしですわ」
    [11:34.925](じろっ)
    [11:36.696]正宗:「表紙に『エロマンガ』って書いてあるけど
    [11:39.129]イラストレーターさんの名前で内容には関係ないし
    [11:42.097]エッチな小説じゃちっともないし
    [11:44.548]勇気を出して買っちゃおうかな」
    [11:47.462](じろっ、じろっ
    [11:49.347]さ、皆の物買え、買うのだ)
    [11:52.714]店主:「お客様」
    [11:55.110]正宗:「はいっ、ええ!」
    [11:57.623]店主:「お話がありますので、こちらに来ていただけますか」
    [12:02.820]肩をつかまれ振り向くと、強面マッチョのおっさん
    [12:07.302]高砂書店の店主が、ド迫力で俺を見下ろしていた
    [12:13.496]店内で騒いでいた俺は、書店のバックロームで弁解をしていた
    [12:19.058]正宗:「ですから、俺は作者なんですよ、この本の」
    [12:22.480]店主:「こんなに若い作家がいるか
    [12:24.836]うちの娘と同じぐらいじゃねぇか」
    [12:27.553]正宗:「本当ですって、最近中学生デビューとか、珍しくない時代なんですってば
    [12:34.669]ほら、これ、学生証、『和泉正宗』って書いてあるでしょう
    [12:38.740]この本の作者とほとんど同じ名前ですよ、これが証拠です」
    [12:42.542]店主:「うん、いやしかしな」
    [12:45.476]智恵:「ちょっと、お父さん
    [12:47.560]お店空っぽにして何やっての、万引きか何か」
    [12:51.787]店主:「ああ、いや、店で騒いでるやつがいたからよ
    [12:56.579]ほかのお客様の邪魔になるかもしれねぇから、事情を聞いてたんだが」
    [13:02.829]智恵:「ん?ありゃ、和泉君じゃない、一組の」
    [13:08.177]正宗:「えっ、君は」
    [13:10.615]智恵:「高砂智恵、覚えてないかな、小三の時同じクラスだったんだけど」
    [13:16.747]正宗:「あ、ごめん」
    [13:18.817]智恵:「そっか、まあいいや」
    [13:20.662]店主:「こぞ、こんな美少女を忘れたってんのか」
    [13:24.537]正宗:「す、すみません」
    [13:26.325]智恵:「ちょっ、お父さん、恥ずかしいこと言わないで
    [13:30.261]えっと、で、どういうこと」
    [13:33.820]店主:「だからな、店で騒いでたこぞは
    [13:37.746]自分がこの本を書いた作家だとかなんとか
    [13:41.373]下手な嘘ついてよ」
    [13:44.270]智恵:「おっ、それ、今日発売の新刊じゃん
    [13:48.429]って、えっ、『和泉マサムネ』、和泉正宗
    [13:54.798]ん?ん??ま、まさか」
    [13:59.428]正宗:「うん、俺がその本の作者、和泉正宗なんだ」
    [14:05.725]智恵:「マジで?」
    [14:07.046]正宗:「マジで」
    [14:07.980]店主:「偶然じゃねぇのか」
    [14:10.121]正宗:「本当ですって」
    [14:16.020]智恵:「ね、和泉君さ」
    [14:18.070]正宗:「な、なんだ」
    [14:19.437]智恵:「ブラックロッドとブラッドジャケットとブライトライツ-ホーリーランド
    [14:23.293]この三作ではどれが一番好き」
    [14:26.056]どれも電撃文庫から発売されている超名作小説だ
    [14:30.856]俺は質問の意図を分かりかねながらも、即答していた
    [14:35.482]正宗:「ブラッドジャケット」
    [14:37.190]智恵:「うんん
    [14:39.730]ラノベキャラで君が一番格好いいと思う名前は」
    [14:43.461]
    [14:46.293]智恵:「んじゃ、ブギーポップシリーズで一番好きな本は」
    [14:50.000]正宗:「高砂さん、この質問に何の意味があるわけ」
    [14:53.569]智恵:「ライトノベル性格分析ってとこかな
    [14:56.511]いいから答えてよ」
    [14:58.523]正宗:「VSイマジ
    [15:00.234]いや、エンブリオ炎生かな」
    [15:03.911]智恵:「そっかそっか、なるほどね、いやどうりで
    [15:09.343]ちなみに僕は、パンドラとペパーミントの魔術師が好きだよ」
    [15:13.331]正宗:「俺も、ファントムは超好き」
    [15:15.365]智恵:「おお分かってるね
    [15:17.106]あっ、ところで、うちのお父さんちょっとイナズマに似てない」
    [15:20.362]正宗:「えっ、似てないと思うけど」
    [15:24.515]店主:「おいおい、何の話だ、さっぱりわからんぞ」
    [15:28.572]智恵:「お父さん、和泉君の言ってることたぶん本当
    [15:32.766]自分が作者だなんて言って、ごまかそうとしているわけじゃないよ」
    [15:36.513]店主:「なんでわかる」
    [15:38.213]智恵:「んとね、いまちょっと話してそう思った
    [15:42.517]ラノベ好きなやつに悪いやつはいないって
    [15:45.877]それだけじゃ弱いかな」
    [15:48.556]店主:「まあな」
    [15:49.928]智恵:「えっとじゃ、あんまり大きな声じゃ言えないんだけど
    [15:54.940]僕、今日発売のラノベ
    [15:57.089]昨日店に入荷したときに読んじゃったんだよね」
    [16:00.869]正宗:「てことは、俺の本も読んでくれたってこと」
    [16:03.869]智恵:「えへへ、そういうこと
    [16:06.995]びっくりしちゃった、
    [16:09.976]僕が作品を読んで想像した作者のイメージそのものなんだもん
    [16:14.348]だから、きっとこの人が和泉マサムネ先生本人なんだろうなって思った
    [16:20.979]それに、同じクラスで一年間過ごしたこともあるしな
    [16:25.191]君はそんな嘘をつくようなやつじゃないよ
    [16:30.362]今日は和泉正宗のデビュー作発売日だし
    [16:34.166]お店の中で様子がおかしかったのはそのせいじゃないかな」
    [16:38.163](見透かされている)
    [16:42.096]店主:「わかった
    [16:43.681]おいこぞ、もう店で騒ぐなよ」
    [16:47.858]正宗:「はい、すみませんでした」
    [16:52.306]智恵:「一件落着だね」
    [16:54.942]正宗:「助かったよ」
    [16:56.831]威圧感のかたまりがバックルームから去り
    [16:59.700]俺はようやく一息つく
    [17:02.382]そこで、高砂さんが上機嫌に近づいてきた
    [17:06.726]智恵:「で、和泉マサムネ先生、なんか面白そうだし、話聞かせてよ」
    [17:13.776]正宗:「ああ、記念日って、俺のデビュー作の発売日か
    [17:17.940]あれがきっかけでお前と話すようになったんだっけ」
    [17:20.672]智恵:「そうそう、なんだよ、ちゃんと覚えてるじゃん
    [17:24.537]その後ムネ君が、ラノベ作家だってことを学校では隠したいから
    [17:28.729]秘密にしててって言い出して」
    [17:31.125]正宗:「ずっと内緒にしてくれてるよな」
    [17:33.299]智恵:「そりゃ約束しましたからね」
    [17:35.802]正宗:「すぐばらされるって思ってた」
    [17:37.807]智恵:「ちぇ、ひどいな
    [17:39.839]こう見えてけっこう義理堅いだぜ僕」
    [17:42.344]正宗:「知ってる、友達だからな」
    [17:45.039]智恵:「そう、ムネ君が学校で唯一ラノベの話ができる友達だ
    [17:49.994]僕にとってもね」
    [17:51.829]俺はともかく、智恵は学校でも友達が多いほうだと思うのだが
    [17:56.931]やっぱり書店員でラノベ担当をしている彼女と同じレベルで
    [18:01.179]ラノベトークができる女子はいないらしい
    [18:04.309]だから、お互いにとっていい出会いだったのだろう
    [18:08.604]智恵:「ね、ムネ君この後うち寄ってく
    [18:12.723]ほら、勉強教えてもらった報酬、渡さなくちゃだし
    [18:17.343]ただでいいとは言ってもらったけれども、受け取ってよ」
    [18:20.966]正宗:「そういうことなら、行くよ」
    [18:23.515]智恵:「よーし、そうかなくっちゃ
    [18:25.582]ムネ君におすすめしたい本もあるんだ」
    [18:28.349]正宗:「貸してくれんの」
    [18:29.429]智恵:「売ってあげるよ」
    [18:31.652]正宗:「しっかりしてんな
    [18:33.723]わかった、買うよ」
    [18:35.635]智恵:「毎度あり、きっと気に入ってくれると思うよ
    [18:39.611]読んだら感想聞かせてよね」
    [18:43.224]高砂智恵、俺の親友は、こんなやつだ