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  • しかし、それが間違いだったことに気付くのに、
    それほど時間はかからなかった。
    お互いにあまりにも冷静さをかえていた。
    あまりにも夢を語りすぎて、
    現実から遠ざかっていったのである。
    歯車はすぐにも狂い始めた。
    そして、突然止まった。
    またしても破局が訪れようとしていた。
    ある日、僕がふと現実と価値観の問題を口に出した時、
    恐らくだが、彼女は一瞬にして、
    夢から覚めてしまったのかもしれない。
    わたしが子供だからいけないのね、と彼女は言った。
    ぼくはあえてそれを否定しなかった。
    なぜなら、このままずっと夢を見続けられるはずがない、
    というぼくの現実的な考え方が警告を発していたからだった。
    そして、今度ゆっくり話し合う必要があるといったぼくの言葉が、
    急速に彼女を遠ざけてしまった。
    それまで、会えない日でも、
    毎日交わしていたメールの内容はおざなりになり、
    会って話がしたいというぼくのメールに、彼女は時間がほしいと答えてきた。
    話し合う前に時間がほしいというのはどういう意味だ。
    話し合ってからの方が、
    時間が必要になるんじゃないのか。
    一方的と感じた彼女のメールに、ぼくは、
    それはお互いに時間が必要になったということなのかな、と返した。
    ぼくの精一杯の抵抗だった。
    このままでは、話し合う前にぼくたちは駄目になる。
    そういう意味を込めたぼくなりの警告を発したつもりだった。
    しかし、それ以来、彼女のメールはぷっつりと止んだ。
  • [00:00.43]しかし、それが間違いだったことに気付くのに、
    [00:05.73]それほど時間はかからなかった。
    [00:09.76]お互いにあまりにも冷静さをかえていた。
    [00:13.89]あまりにも夢を語りすぎて、
    [00:18.23]現実から遠ざかっていったのである。
    [00:23.74]歯車はすぐにも狂い始めた。
    [00:27.34]そして、突然止まった。
    [00:33.10]またしても破局が訪れようとしていた。
    [00:39.24]ある日、僕がふと現実と価値観の問題を口に出した時、
    [00:46.76]恐らくだが、彼女は一瞬にして、
    [00:51.23]夢から覚めてしまったのかもしれない。
    [00:55.65]わたしが子供だからいけないのね、と彼女は言った。
    [01:01.20]ぼくはあえてそれを否定しなかった。
    [01:04.88]なぜなら、このままずっと夢を見続けられるはずがない、
    [01:10.97]というぼくの現実的な考え方が警告を発していたからだった。
    [01:18.63]そして、今度ゆっくり話し合う必要があるといったぼくの言葉が、
    [01:25.17]急速に彼女を遠ざけてしまった。
    [01:30.16]それまで、会えない日でも、
    [01:33.17]毎日交わしていたメールの内容はおざなりになり、
    [01:37.72]会って話がしたいというぼくのメールに、彼女は時間がほしいと答えてきた。
    [01:47.24]話し合う前に時間がほしいというのはどういう意味だ。
    [01:52.29]話し合ってからの方が、
    [01:54.55]時間が必要になるんじゃないのか。
    [01:59.43]一方的と感じた彼女のメールに、ぼくは、
    [02:04.28]それはお互いに時間が必要になったということなのかな、と返した。
    [02:13.09]ぼくの精一杯の抵抗だった。
    [02:17.11]このままでは、話し合う前にぼくたちは駄目になる。
    [02:22.52]そういう意味を込めたぼくなりの警告を発したつもりだった。
    [02:29.20]しかし、それ以来、彼女のメールはぷっつりと止んだ。