[00:00.00] 作词 : コヤマヒデカズ [00:01.00] 作曲 : コヤマヒデカズ/純市/有田清幸 [01:26.99]底の 底の底の底 [01:29.31]マリアナ海溝の奥深くから呼びかけている [01:32.89]メーデー、メーデー、メーデー [01:34.81]こちらは第五万四千百七十八次遠征隊 [01:39.25]どうやらエアタンクにも亀裂が生じたようだ [01:42.37]レギュレーターに送られる空気が乱れ始めているのを感じる [01:46.38]これ以上はもう水圧に耐えられず [01:48.87]浮上することさえままならなくなってしまった [01:52.54]我々は幾度となく失敗し [01:55.09]それでも今日まで探求の灯を絶やさず [01:58.07]果てに何が待っているのかも分からず [02:01.20]しかし我々には 前進以外の選択肢は無かった [02:05.46]後悔や罪悪感 [02:07.32]悲しみや虚しさを重りとして身体に巻き付け [02:10.72]人類最後にして最大の海 [02:13.43]心の中心へと再び潜行を試みた [02:18.35]水深5M [02:20.27]身体が少しずつ海中に慣れていく [02:23.30]巻き付けた重りは 今のところ上手く機能していた [02:27.11]全てを焼く程の太陽光が海中に降り注いでいる [02:31.42]水深20M [02:33.19]表層はとても煌びやかな世界だ [02:35.88]わざとらしいほど極彩色の珊瑚礁が並び [02:38.99]いかにも楽しそうな様子で魚達が群れを成していた [02:43.48]水深100M [02:45.36]太陽光が薄くなり  心は本来の様相を呈し始める [02:49.95]一頭のイルカが 頭上から我々を見ていた [02:52.73]「私は忠告したぞ」と言っているように見えた [02:57.16]水深200M [02:58.93]有光層を過ぎ無光層に到達した [03:01.77]今にも飲み込まれそうなほどの暗黒の中にいる [03:04.87]ここが深海の始まり  心の中心はまだ遥か先だ [03:10.05]水深6000M [03:11.96]異形の深海生物に捕食されかける [03:14.72]あれはきっとあの日の後悔と罪悪の塊 [03:17.62]深層は遂げられない思いの残骸で溢れかえっている [03:21.03]忘れられない思い出  言えなかった言葉と言ってしまった言葉 [03:25.04]腐臭を放つ本音と欲望に耐圧スーツが軋み始めていた [03:29.03]肺が悲鳴を上げている  口を開けた真っ黒い闇についに飲み込まれる [03:34.58]メーデー、メーデー、メーデー [03:36.37]こちらは第五万四千百七十八次遠征隊 [03:40.00]我々はまた失敗するのだろうか [03:42.42]誰にも見つからないまま 拭い去れない感情に潰されて死ぬのだろうか [03:47.23]いつになれば我々は過去を許せるのだろうか [03:50.36]過去を抱え続けることは本当に無意味なのだろうか [03:53.68]二度とは来ない  通り過ぎた列車が来るのを 今もずっと待っているのに [04:01.00]水深10000M [04:03.31]心の底の底の底から呼びかけてい る [04:08.60]ずっと  ずっと