蛞蝓とビガゾー 囚われたきみよ。 壁を這うぼくたちがお話をしよう。 逃げる方法を教えるさ。 この部屋は湿り陰鬱としていて。 天井に小さな穴が開いているだけだ。 さあぼくたちを食べて。出してあげる。 あそこまで這って、ここを逃げ出そう。 少しずつ縮んでいくから、世界が大きくなる。 お気に入りのドレスもここに置いていくことになるだろう。 あ、あ、あ、あ、あ、あ! ああ! ぼくたちを食んだ、変化するよ。 手足が短くなって同じにね。 何も疑わず、ぼくたちを食んだろう。 囚われた理由も知らずに、「たすけて」の言葉。 繰り返し言うきみ、泣き喚くだけ。 少しずつ縮んでいくから、世界が大きくなる。 お気に入りのドレスもここに置いていくことになる。 気がつけば、すべてが変貌。 既視感に包まれる。 思い出したのかい? 今更、謝っても遅いのだけど。