[00:02]いつか名付けた野良猫 [00:06]今日は未だ来ないようだ [00:11]独りになりたがるのに [00:15]寂しがるんだねえ? [00:19] music [00:43]拝啓、そぼ降る雨の夜々 [00:48]魂暗い午前三時 [00:52]並べられた標本の中で夢を見ていた [01:00]幼子の吐く駄々のように [01:02]喧(ののめ)き呻(うめ)く波のように [01:04]傅(かしず)くように縋るように今日を生きて《明日も生きた》 [01:08]落日に消ゆ街のように [01:10]寝台で膿む花のように [01:12]泥雨を翔ける鳥のようにその身を汚して [01:17]さめざめ落ちていく暗涙の雨に溺れて [01:21]生きた温度すら無くしてしまった [01:25]繋がれたその手をどうか離してくれないか [01:29]あなたの温度すら奪ってしまうから [01:34]拝啓、篠突く雨の午後 [01:38]茶色の翅は濡れに濡れて [01:42]割れた毒薬の壜の中で息を殺した [01:50]悼(いた)みに咽ぶ痛みさえも [01:52]物狂おしい孤独さえも [01:54]別離に流す泪さえもとうに枯れて《今は眠れ》 [01:59]飢(かつ)え求めた光を追え [02:01]白い提琴(ヴァイオリン)の鳴る方へ [02:03]全て漠とした夢の中で君に会えた [02:07]吐き捨てては過ぎる深泥の日々に沈んで [02:11]確かなしるしすら淀んでしまった [02:16]差し伸べたその手をどうかしまってくれないか [02:20]あなたのその手すら汚してしまうから [02:23] music [02:40]古く色の褪せた一冊の詩編に [02:45]とうに捨て去ったあの日の僕を見た [02:49]自分が自分であり続ける限り [02:53]毎夜、悲しみを数えるのだろう [02:57]さめざめ落ちていく暗涙の雨に溺れて [03:02]生きた温度すら無くしてしまった [03:06]繋がれたその手をどうか離してくれないか [03:10]あなたの温度すら奪ってしまうから [03:14]夜の雨が見せた陸(ろく)でもないような悪夢さ [03:18]光の届かない天幕の舞台だ [03:23]ここにいることさえ叶わぬのならばいいさ [03:27]あなたを照らす灯になれるのであれば [03:30][03:58] music