[00:09.455] 或の日湯島聖堂の白い石の階段に腰かけて [00:25.236] 君は陽溜まりの中へ盗んだ檸檬細い手でかざす [00:40.850] それを暫くみつめた後で [00:48.664] きれいねと云った後で齧る [00:56.378] 指のすきまから蒼い空に [01:04.256] 金糸雀色の風が舞う [01:10.564] 喰べかけの檸檬聖橋から放る [01:19.801] 快速電車の赤い色がそれとすれ違う [01:29.505] 川面に波紋の拡がり数えたあと [01:37.288] 小さな溜息混じりに振り返り [01:45.069] 捨て去る時には こうして出来るだけ [01:52.791] 遠くへ投げ上げるものよ [02:08.589] 君はスクランブル交差点斜めに [02:16.435] 渡り乍ら不意に涙ぐんで [02:24.163] まるでこの町は青春達の [02:31.900] 姥捨山みたいだという [02:39.652] ねェほらそこにもここにもかつて [02:47.423] 使い棄てられた愛が落ちてる [02:55.138] 時の流れという名の鳩が [03:02.889] 舞い下りてそれをついばんでいる [03:09.101] 喰べかけの夢を聖橋 から放る [03:18.331] 各駅停車の檸檬色がそれをかみくだく [03:27.928] 二人の波紋の拡がり数えたあと [03:35.804] 小さな溜息混じりに振り返り [03:43.661] 消え去る時には こうしてできるだけ [03:51.435] 静かに堕ちてゆくものよ