[00:00.12] [00:10.27] [00:26.37] [00:29.91] [00:40.39]或る夏、影を伸ばすような夕暮れ [00:43.77]カラスが鳥居の上で聞いた噂 [00:46.44]耳打つ子供の声 夏祭り、揺ラリ。 [00:50.43] [00:50.83]裏山の小道、トンネルの向こうに [00:54.46]ポツリと古び眠る屋敷があって [00:57.17]首吊った少女の霊が夜な夜な出るそうだ [01:00.60] [01:00.94]好奇心で立ち入る人達 [01:04.17]「言っただろ、出るはずない」と [01:06.47]軋む階段 揺れる懐中電灯 [01:09.49]誰も気付いてはくれないや [01:11.90] [01:12.21]「私、死んでなんかない。」って [01:14.41]暗がりに浸かって [01:15.75]そっと強がって澄ましても [01:18.47]過ごした日々と共に [01:20.39]止まった針は埃被って [01:23.10]また声枯らして今日が終わって [01:25.74]明日が窓に映り込んでも [01:29.24]私は此処にいます。 [01:33.52] [01:35.28]..music.. [01:53.09] [01:55.04]季節を束ねた虫の聲 夕立 [02:00.48]流れた灯篭 神様の悪戯のよう [02:08.45] [02:15.08]迷い込んできた灰色猫 [02:18.14]「あなたも私が見えないの?」 [02:20.40]背を撫でようとした右手は虚しく [02:23.88]するり抜け、空を掻いた [02:25.87] [02:26.19]「私、死んでいたのかな」って [02:28.38]膝を抱えて 過去の糸を手繰っても [02:32.45]些細な辛いことや家族の顔も思い出せなくて [02:37.04]遠くで灯りだす家並みの明りや [02:40.46]咲いた打ち上げ花火を [02:43.26]眺め、今を誤魔化す [02:47.53] [02:49.35]..music.. [03:12.87] [03:14.32]夏の終わり 過ぎ去った [03:18.33]子供たちの噂も薄れ [03:21.74]漂っては薫る線香の煙と一緒に [03:26.57]姿は透け、やがて消えゆく [03:30.29] [03:30.63]私はただの一夏の噂だった [03:34.65]六月始めに生まれ [03:38.00]八月終わりに遠退いた [03:40.24]意識は影法師になった [03:42.44] [03:42.79]誰も見つけてはくれなかったけれど [03:46.15]記憶の片隅にある、かつての淡い日々の [03:51.00]一部となって残り続ける [03:53.74]もう切らした向日葵の歌 [03:56.04]蝉しぐれも亡き [03:57.68]夏の匂いだけ残る屋敷に [04:00.94]少女はもういないだろう [04:07.21] [04:23.76]終わり