本当の気持ち ずいぶんと長い時間墓の前で泣いていたように思う。 気付くとすっかり日が暮れかかっていた。 ようやく少女のことを思い出し、周りを見回したが、もうどこにも姿はなかった。 ふと足元に請求書と書かれた白い封筒が落ちていることに気付いた。 これは。。。 封を切って中身を取り出すと、そこには次のような文章が書かれていた。 注文はあなたのお兄さまからすでにいただいております、よってあなたへの請求はございません。 弟に幸せになってほしいと願うお兄さまの気持ちに、あなたが応えることを願ってやみません。――不思議工房。 兄さんもあそこへ行ったのか、ぽそっと呟いたらまた涙がこぼれた。 そしてはじめて自分の気持ちに気づいた。 本当は兄を恨んでいたわけじゃない、憎んでいたわかじゃない。 ただ甘えたかっただけなのだ。自分を見つめてほしかったのだと。 「兄さん。。。また来るから。。。」僕はそっと腰を上げ、その場を後にした。