[00:00.52]三年が瞬く間に過ぎ、出所を迎えた日のこと。 [00:05.48]刑務所を背にして、最初に僕が見たのは、小さな女の子の姿だった。 [00:13.78]「あっ、お前は。。。」とっさに僕は息を呑んだ。 [00:21.62]あの事件の直前にバーのカウンターで見た夢を思い出した。 [00:28.38]そんな馬鹿な。。。あれは夢じゃなかったのか。。 [00:34.25]僕はまじまじと少女の顔を見た。 [00:39.44]間違いない、あの夢に出てきた女の子だ。 [00:44.39]いや、たとえ夢じゃなかったにせよ、なぜあの子はここに? [00:52.37]頭が混乱して、どう対処していいのかわからなかった。 [00:58.19]その時、「さあ、お兄さんのところに行きましょう」と少女が言った。 [01:07.84]僕ははっとなった。 [01:11.99]そこではじめて、兄の姿が見当たらないことに気付いた。 [01:17.70]僕はついかっとなって叫んだ。 [01:21.74]「冗談じゃない!あいつも俺を見放したんだ。 [01:25.64]なのになんで俺があんな奴のところに行かなきゃならない。顔も見たくないのに。」 [01:32.27]すると少女は飽きれた顔をしながら、「お兄さんは来たくても来れないの」と言った。 [01:42.16]「なんだそりゃ?どういう意味だ?みんなして俺をバカにしてるのか!」 [01:52.16]頭にきて力いっぱい叫んだら、急に周りが暗くなった。 [02:01.09]貧血でも起こしたのかと考えている間に、ふと気が遠のいた。